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杉本 雅樹; 武山 昭憲; 吉川 正人
no journal, ,
耐熱・耐蝕性に優れたSiCセラミック薄膜は、前駆体高分子であるポリカルボシラン(PCS)薄膜を架橋した後焼成して作製されるが、この工程において、薄膜の体積収縮によるピンホール等の欠陥形成、あるいは密度上昇による水素透過率の低下が引き起こされることがこれまでの研究からわかっている。そこで今回は、電子線で無酸素架橋したPCS薄膜について、焼成時の体積変化と水素透過率の関連性を調べ、SiCセラミック薄膜の最適な作製条件を探索し、積層して得られる水素分離膜の性能との関連を調べた。初めに焼成時の体積変化を調べたところ、600C以下の温度域で10%程度膨張した後、6001000Cの温度域で収縮した。焼成終了時の収縮率は、酸化架橋の場合に比べ、10%以上少なくなることがわかった。この作製条件を適用して多孔質アルミナ平板に作製した水素分離膜について、その積層回数と水素分離能、あるいは水素透過率の関連を調べたところ、従来の酸化架橋法では4回以上積層して実現してきたピンホール等の欠陥抑制がわずか2回の積層で実現し、従来に比べ1桁多い110(mol/sec/m/pa)以上の水素透過率と水素分離比200以上を動作温度200Cで実現することに成功した。
井川 直樹; 田口 富嗣; 深澤 裕; 山内 宏樹; 内海 渉
no journal, ,
新しい正極材料の候補であるLi(CoNiMn)Oを合成し、高出力化や安定性に関与する重要な因子である結晶構造とLi拡散経路を中性子回折法により検討した。Li(CoNiMn)Oの結晶構造は既存の正極材LiCoOやLiNiOと基本的に同じ構造(空間群:-3)であり、3, 3, 6の各サイトを各々Li, (Co, Ni, Mn),酸素が占める。Rietveld解析の結果、Li(CoNiMn)OはLiサイトの一部にNiが入り込んでいるが、その置換率は約3.8%と見積られ、Niの一部をMnやCoで置換することは、NiのLiサイトへの入り込みを低減させる効果があることがわかる。MEM解析の結果、軸に平行な面上でLi密度分布が広がりを見せ、これらの面上の3-9-3サイトを経由してLiが伝導していることがわかった。
出崎 亮; 杉本 雅樹; 吉川 正人
no journal, ,
ポリカルボシラン(PCS)と酢酸パラジウム(Pd(OAc))をブレンドすることにより、SiC系材料へのプレカーサーを作製した。得られたPCS/Pd(OAc)ブレンドは1200Cにおいて、PCSのみの場合よりも25%高い、81%のセラミック収率を示した。さらに、PCS/Pd(OAc)ブレンドのFT-IRスペクトルにおいて、PCSに含まれるSi-H結合に帰属される吸収ピークの減少を確認した。これらの結果から、Pd(OAc)はPCSの架橋剤として働き、高セラミック収率でSiC系材料を合成するうえで非常に有効であることが明らかになった。